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SHOCKER GIRLS



「ここは…」
冷たいベッドの上で目を覚ました女が、麻酔の余韻でボンヤリしている頭を軽く振り、周囲を見渡した。
手足はもちろんのこと、首と腰も金属の拘束具でベッドに固定されて身動き出来ないことを理解した女は、ムダなことは考えず、意識を失う前のことを思い出す。
「ライダーと一緒にショッカーの基地に潜入して… 私たちは誘拐された女性を探すために… ライダーと別行動に… そのあと…   そう言えば、みんなは…」
もう一度、首を左右に動かして部屋の中を見渡してみるが、それほど広くない部屋は、天井には手術室にあるような大きなライトが設置され、壁には怪しい機械が幾つも設置されて、小さなランプが不規則な点滅を繰り返しているだけだった。
「みんなも別の部屋で拘束されて…」
『目を覚ましていたのか』
女があれこれ思案していると、いつのまに現れたのか、部屋の一角に黒いレオタードにマント姿で冷酷に微笑む女が立っていた。
「あ…綾小路…律子… 私をどうする」
≪や、やめて…≫
「エッ!?」
自分を拘束している意図を問いただそうとしたとき、部屋の外から悲痛な叫び声が聞こえてきた。
「いまの声… ミツキ?」
『フフフッ…』
≪ナオ、わたしよ… みんなも…  キャアァァァァァァァァァ…≫
「ミツキッ!! 私よ、エリカよッ! どうしたのミツキッ!!」
自分の呼びかけにミツキは答えず、ただ大きな悲鳴を上げたあと沈黙してしまった。
「ミツキ…どうしたの…  それにナオって… みんなもって…  どういうことなの…」
悲鳴を残して静かになった仲間の行動が、エリカの不安を大きくする。
『フフフッ…あっちは終わったようだな。 次はお前の番だ』
悪の秘密結社ショッカーの女科学者綾小路律子がエリカの全身をなめるように見たあと、邪悪な笑みを浮かべる。
『ライダーと共に、ショッカーに楯突いただけのことはある。 十分戦力になりそうだな』
「戦力ってなによ。 それにいまの声、ミツキはどうしたの! みんなは…」
≪イッー!!≫
会話を遮るように、嫌と言うほど耳にしているショッカー戦闘員の奇声が部屋の外から聞こえてきた。
『フフフッ… 来たか。 入って準備を始めろ』
≪イッー!!≫
4人のショッカー戦闘員が1人ずつ、綾小路律子に向かって敬礼すると、2人ずつ左右に分かれて壁を背にして整列する。
「私に何を… エッ?  戦闘員…じゃない…」
部屋の中央に向かって直立不動の姿勢でたたずむショッカー戦闘員は、骨が描かれた黒のゼンタイスーツ姿ではなく、骨が描かれた艶のある黒の袖なしハイネックレオタードに、ショッカーエンブレムのベルト、膝上までのブーツと、肘までのグローブに、顔には目元を隠すショッカーエンブレムのアイマスクを装着していた。
「な…なに… 女戦闘員…   ッ!!」
そのシルエットから全員が女戦闘員であることを見てとったエリカは嫌な予感がし、たたずんで動かない女戦闘員たちを凝視する。
「う…うそ…でしょう…」
アイマスクをしているが、仲間の顔を見間違えることはない。
震える声を絞り出したエリカは4人の顔を1人ずつ見やり顔を引き攣らせる。
「ナオ…」
「カオリ…」
「ヒトミ…」
「チサト…」
エリカの呼びかけに応える者はおらず、ただ綾小路律子の命令を待ち、たたずむだけだった。
≪イッー!!≫
そして、動揺して震えるエリカに追い打ちをかけるように、同じ姿をした女戦闘員がもう1人現れる。
『フフフッ… 今日からお前はショッカー戦闘員、ショッカーガール5号だ』
≪イッー!!≫
その女戦闘員が、悲鳴を上げていたミツキであることは、顔を見なくて判断できた。
ほんの数分前、悲鳴を上げて抵抗していた仲間のミツキが、いまは憎きショッカーの戦闘服を身に着けて、忠誠を誓う敬礼の姿勢をとっている。
「ミ…ミツキ… うそ…でしょ… さっきまでは…」
カツカツと踵を鳴らして4人と一緒に並びたたずむミツキを見やるエリカの心は絶望感で押し潰されそうだった。
『フフフッ… 準備しろ』
綾小路律子の言葉に全員が奇声で答えると、女戦闘員たちが装置にセットされている注射器とマスクを取り出した。
『次はお前が、こいつをショッカー戦闘員に改造してやれ』
綾小路律子がミツキ、ショッカーガール5号に命令すると、ミツキは奇声で命令を受諾し、仲間から注射器を受け取りエリカに近づく。
「やめて…ミツキ… 私たちは仲間よ… 正義のために…ライダーと… ウッ!」
女戦闘員たちに頭を抑えつけられたエリカの首にミツキが注射針を挿入し、黒い薬剤を注入する。
「ミ…ミツキ… なにを…注射… ハゥッ…!」
ビクンと体を強張らせたエリカの顎が上がり眼球が小刻みに震える。
『フフフッ… お前に注射したのは筋力増強剤と精神操作薬だ』
ミツキは黒いショッカーのアイマスクを受け取ると、ゆっくりとエリカの顔に近づけた。
「やめて… ミツキ…  私はショッカーに… 戦闘員になりたく… ウッ…」
ほかの女戦闘員に頭を抑えられて動けないエリカの顔に、内側が細かい機械で埋め尽くされた、硬質な黒いショッカーのアイマスクが取付られる。
「イヤァァァァァァァァァ…」
悲鳴をあげて取り付けられたマスクを振り落とそうとするエリカ。
だが、マスクの額の位置から脳に向けて電子針が挿入されると、エリカの体がビクンと弾み、そのあと糸の切れた人形のように動かなくなる。
『フフフッ…』
≪イッー!!≫
綾小路律子の妖しい微笑みにミツキが敬礼で答え、壁にある装置のスイッチを入れると、エリカのベッドが怪しく明滅して、彼女を照らしているライトがブラックライトのような青紫の光に変わる。
青紫の光に照らされてエリカの唇が白く輝いて見えたが、時間が経つとそれは次第に変化して、他の女戦闘員と同じように、唇が艶のある黒に染まり、エリカの瞼がゆっくりと開いた。
蛇のような冷たい眼で一点を見つめたまま、ゆっくりと上半身を起こしたエリカは、流れるようにベッドから降り立つと、身に着けているライダーガールズのコスチュームである黒いライダースーツや下着のすべてを脱ぎ捨て、ベッドの脇に置かれていたショッカーガールの戦闘服を身に着けてゆく。
骨柄の黒いレオタード、ブーツ、ショッカーベルト、グローブとすべてを身に着けたエリカは、綾小路律子の前まで移動すると直立不動の姿勢から、ブーツの踵を鳴らして右手を斜め上に掲げるショッカーの敬礼の姿勢をとり奇声を発した。
≪イッー!!≫
『フフフッ… いまからお前はショッカーガール6号だ』
≪イッー!!≫
『フフフッ… ショッカーガールズ。 ジョーカーへの忠誠の証をみせろ』
≪イッー!!≫
冷たく微笑み踵を返した綾小路律子が部屋を後にすると、ショッカーガールズも順番に整列して後に続いた。



数時間後。
音信不通になったガールズを探すライダーの前に、ショッカーガールズに改造されたライダーガールズの6人が、ライダーの前に立ちはだかった。



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アリスレイブ



『俺様の正体に気づくとは、さすがAKBのひとりだ』
人間と蟻を合成して生み出された悪の組織ジョッカーの怪人アリジョッカーが椅子に座らされている女を見下ろす。
「お前たち怪人はイヤな臭いがするのよッ! 気づかない方がおかしいわッ!」
黒いゼンタイスーツで首から下を覆われた女は、腰かけたまま動きもせずに目の前の怪人を睨みつけた。
『ギッギッギッ… 俺様の正体を見破っても、そのスーツを着てしまっては意味がないがな』
「くッ…」
女は唇を噛みながら自分の体に視線を落とす。
女の名前は小島悠子。
戦うアイドルグループAKB(Angel・Knight・Bomber)のひとりナイトブルーで、銀と青のコンバットスーツを身に纏い、悪の組織ジョッカーと戦っていた。


悠子はアイドルとしての仕事で、ある企業の研修施設をCM撮影のために訪れた。
そこで手渡された黒いゼンタイコスチュームに着替えて撮影現場に出た悠子は、監督に変装していたアリジョッカーの正体に気づき、その場にいた全員に避難を呼びかけたが、悠子と彼女と一緒に来たアイドル以外は全てジョッカーの戦闘員で、この撮影はAKBナイトブルーを捕らえるための罠だった。


『ギッギッギッ… そのスーツは身に着けた者の自由を奪うことができるのだ』
≪イッー! アリジョッカー様。 実験体へのユニット装着が完了しました≫
全身真っ黒の体に骸骨が描かれたジョッカー戦闘員が敬礼の姿勢で報告を行うと、戦闘員のあとから4つの人影があらわれた。
『ギッギッギッ… アリスレイブユニットは成功のようだな。  アリスレイブたちよ』
<キッー!><キッー!><キッー!><キッー!>
アリスレイブと呼ばれた4人が甲高い奇声を発して敬礼の姿勢で止まる。
「あ、あなたたちは…」
一緒にやってきたアイドルたちは悠子と同じ黒いゼンタイスーツの上から、闇桃色の蟻の頭を模したヘルメットと丸みを帯びた胸当てと腰当、二の腕までの手袋と膝上までブーツを装着された姿で、人とは思えない紅い眼をしていた。
『ギッギッギッ… アリスレイブユニットで俺様の命令に忠実な奴隷に改造してやった。 ギッギッ… こいつらはお前たちAKBを奴隷にする為の実験台に過ぎないがな』
「くっ…なんて酷いことを…  でも私たちAKBの正義の心は、そんな物に負けないわッ!!」
『ギッギッギッ… そう言ってるのもいまのうちだけだ。 アリスレイブたちよ、ナイトブルーにユニットを装着してやれッ!』
<キッー!><キッー!><キッー!><キッー!>
アリスレイブたちが敬礼の姿勢で応えると、戦闘員からユニットを受け取り悠子を囲む。
「みんなやめてッ! あなたたちはジョッカーに操られているのよッ!! 目を覚ましてッ!!」
なんとかして逃れようと体を動かそうとするが、黒いゼンタイスーツで覆われた体はピクリとも動かせなかった。
「やめてッ!! やめなさいッ!!  私があなたたちを助け出します! だからこの黒いスーツを…」
悠子の言葉に何の反応も見せずアリジョッカーの命令を忠実に実行するアリスレイブたち。
前後から体に押しつけられた闇桃色の胸当てと腰当がガチャリと鈍い音でロックされ、足にブーツが装着される。
「お願い、正気になってッ!  このユニットを外してッ!」
説得を続ける悠子の両腕が水平に持ち上げられ、闇桃色のロンググローブが装着された。
「や、やめて、お願いやめて… 私にはジョッカーから人々を守る使命が…  このままでは…あなたたちを助けることが出来ない…」
哀願する悠子の頭に4体のアリスレイブのヘルメットとは異なるジョッカーの紋章がついた蟻の頭を模したヘルメットが躊躇わずに装着され、ガチャリと顎の下でロックがかかった。
「イ、イヤッ! はずしッ!?   イッ… キャアァァァァァァァァッ!!」
被されたヘルメットから脳を改造する音波が鳴り響き、悠子が目を見開いて絶叫する。
『ギッギッギッ… アリスレイブユニットが起動したぞ。 ナイトブルーもこれで終わりだ。 俺様の奴隷に改造されるのだ』
「だ…だれが… おまえの… どれい… なんか…に…  わ…わたしは、ナイト …ブ…!!」
抵抗する意志を察知したように音波が激しくなり、悠子の悲鳴も大きくなる。
「イギッ! キャァァァァァァァァァァァァッ!!」
しばらくするとヘルメットのおでこの位置で止まっていた蟻の目と触覚が一体になったバイザーが悠子の目の位置にスライドし、紅く明滅しはじめる。
「ウゥッ… アッ… アァァ……」
バイザーの紅い明滅が少しずつ早くなり絶叫が次第に治まると、悠子の目はアリスレイブたちと同じように真っ赤に染まった。
『ギッギッギッ… 改造が完了したか。 !?』
真っ赤になった目の周りと唇が黒く染まってつりあがると、額に数字のような模様が浮かび上がった。
『ギッギッギッ… 実験体には無かった変化。 ギッギッ… なるほど。 ギッギッギッ… アリスレイブ1号』
≪ギッー!≫
アリジョッカーの呼びかけに悠子は宿敵ジョッカーの敬礼の姿勢で奇声を発して応えた。
『ギッギッギッ… アリスレイブ1号。 お前がジョッカーの一員となった証を見せてもらう。 お前をアリスレイブに改造した実験体アリスレイブどもを廃棄しろ』
≪ギッー! かしこまりました アリジョッカー様 仰せのままに≫
感情のない口調で応答した悠子は、逃げもせずに佇んでいる4体のアリスレイブの胸を、アリジョッカーから受け取った槍で貫く。
『ギッギッギッ… よくやったアリスレイブ1号』
≪ギッー!≫
借りた槍を両手の上において差し出して、片膝をついて跪いた悠子が頭を下げる。
『ギッギッギッ… これでお前は正式にジョッカーの一員だ』
≪ギッー!≫
『ギッギッ… アリスレイブ1号 残りのAKB、エンジェルレッドとボンバーイエローをお前の手でアリスレイブに改造するのだ』
小さく頭を下げてから立ち上がったアリスレイブ1号は右手を掲げる敬礼の姿勢で奇声を発した。
≪ギッー! かしこまりました アリジョッカー様≫
その場でクルリと一回転したアリスレイブ1号の姿が小島悠子に戻る。
「エンジェルレッド後田篤子、ボンバーイエロー柏本由貴をアリスレイブに改造いたします」
黒く彩られてつりあがった目で邪悪に微笑んだ悠子の頭に闇桃色のカチューシャが鈍く輝いていた。



コマンドール



『シャドール帝国の戦闘服を身に着けた気分はどうだ? ガードピンク、風見舞(かざみまい)』
「何のつもりか知らないけど、よりにもよってコマンドの戦闘服だなんて、最悪な気分よ」
『確かに、お前ほどの逸材にそのスーツを着せるのもどうかと思ったがね… ククク…』
シャドール帝国地球侵略軍司令官ワルサーが含みのある顔で笑った。
「どうせ何か処置を施して私を操るつもりなのでしょうけどムリよ。 諦めなさい」
『その前に自らの命を絶つ、と言うことだな。 ククク… それはそれで結構』
「………」
風見舞は怪訝な顔で目の前に仁王立ちしているワルサーの顔を見上げた。
「ワルサー、何を企んでいる」
『ククク… 推察のとおりだよ。 お前はシャドール帝国の一員となり、地球侵略の先兵となる。 いや、なったのだ』
「ッ! なったですって?」
ワルサーの言葉に舞は驚き、もう一度自身の体を見やる。
光沢のある黒いスーツが体にピタリとフィットして首から下をすべて覆い、不気味な生物を思わせる赤紫色のシャドール帝国の紋章が胸に大きく描かれている。
一見シャドール帝国の戦闘員コマンドに似ているが少し違った。
肘と膝から先がグローブとブーツを着けたように紋章と同じ赤紫色になっていることと、真っ黒な全頭マスクを着けていないことがコマンドとは違っている。
「コマンドみたいな姿にされているけど、でもそれは外見だけで」
『さて、それはどうかな? ククク…』
「な、何が言いたいのッ!」
不敵な笑みを浮かべるワルサーの手が小さく合図を送ると、舞の傍らに立っているコマンドが目の部分が蝙蝠の羽のように赤紫色に彩られた全頭マスクを舞に見せる。
「これを被せてコマンドに仕上げるわけね。 でもそれだけで、私を操れると思って?」
『ククク… マスクを着ければ、植え付けた新しい意志と記憶が目覚める。  お前はシャドール帝国のコマンドールに覚醒するのだよ』
「コマンドール?  植え付けた新しい意志、記憶ってどういうことなの!!」
『ククク… お前が眠り続けていた5日間で、帝国の超高度催眠洗脳処置を施した。  風見舞、すでにお前はシャドール帝国の兵士に生まれ変わっているのだよ』
「催眠…洗脳…」
『そうだ。 お前を次元獣に改造してレンジャー共と戦わせるよりも、洗脳して帝国に従わせた方が、ガードレンジャーを確実に葬れる』
「私がお前たちの言いなりになることは絶対にない!! それに5日も連絡がつかない私を、仲間が疑わないはずが」
『ほんの5分程度のことだ』
「!? 5分? それはどう言うこと」
『ククク… この次元要塞がある次元層の1日は地球では1分程度。 レンジャー共はお前が捕らえられていることにも気づいてないだろう』
「そんな話、信じるとでも思ってるの?  私はガードピンクよ、操られて仲間を危険に陥れる前に」
『命を絶つか? ムダだ。 お前が自爆できるのは敵であるガードレンジャーに敗北するか、俺の命令があったときだけ。 すでにお前は帝国の支配下にあるからな』
舞の手足を拘束している金属の枷が鈍い音とともに外された。
『ククク… 試してみるがいい』
「なんのつもりか知らないけど、後悔しても…!?    な…なぜ……体が…動かない…」
拘束を解かれた舞は玉砕覚悟の攻撃を仕掛けようとしたが、椅子から立ち上がるどころか、指一本動かすことが出来なかった。
『俺の許可があるまで動くなと命令してある。  ククク… 自分がシャドール帝国の兵士になっていることを理解したか?』
「くっ…   私はガードレンジャー、ガードピンクよ!  最後まで諦めないわッ!!」
『ククク… 自らを奮い立たせてもムダなこと。 そのマスクを着ければ全てが終わる。  いや、はじまるのだ。 風見舞の記憶と意思は、任務遂行に必要な情報と認識し、刷り込んだ記憶と意志に従い行動するようになる』
「絶対にならない!! 絶対にお前の思い通りにならないッ!!」
『クク… もういいだろう。  風見舞、そのマスクを着けるのだ。  そしてシャドール帝国に忠誠を誓え』
「だ、だれがこんなモノ…  ぐっ…  うぐっ…  か…体が… 手が…勝手に…」
舞の手はコマンドが持っている艶のある黒と赤紫のマスクを受け取っていた。
「体を操られても… 心は… 心は操られたりしない…」
自分の意思に反して動く体に、さすがの舞も恐怖に駆られた。
「ムダよ…  私は… 絶対に……   い…いや…… やめなさい…」
マスクの首の部分を大きく広げて頭を中に入れると、舞の手は迷うことなくマスクから離れる。
『ンンッ!! ンンッ… ンンンッ!!』
舞の顔にピタリと張り付いたマスクは目の部分にある赤紫の模様が妖しく輝き、スーツとマスクの重なった首の部分が綺麗に同化する。
『ンンンッッッッッッ!!   ンッ!!  ンッ  ンンッ… ンッ… ン………』
全身が痙攣し、マスクで口を塞がれて声にならない唸り声をあげる舞が次第に大人しくなり、マスクの口元が微かに膨らみ赤紫色の唇模様が浮かび上がった。
『ンフゥ… フゥ… フゥ…  フゥ………』
シャドール帝国の戦闘員コマンドのようになった舞が呼吸を整えながらワルサーを見上げると、ゆっくりと立ち上がる。
『キッー!! シャドール帝国に忠誠を誓います』
指先まで綺麗に伸ばした右手を胸の前に水平にかざしたあと、高々と掲げるシャドール帝国の敬礼の姿勢と奇声を発して忠誠を誓う舞。
『ククク… 自分が何者か理解しているな』
『キッー!! 私はシャドール帝国地球侵略軍 特別攻撃兵コマンドールHB01です』
『お前の任務は』
『キッー!! シャドール帝国の敵、障害となる地球防衛機構ガードレンジャーの排除。 ガードレンジャーピンク風見舞として潜入し、ガードレンジャーを道連れに自爆することです』
敬礼の姿勢で刷り込んだ使命を返答する舞に満足の笑みを浮かべるワルサー。
『そうだ。 お前はこの次元破壊爆弾でガードレンジャーを殲滅し、帝国の礎となるのだ』
帝国の紋章が刻まれた黒銀のアームレットを舞の左腕に嵌めと、それはスーツに同化して体の一部と化してゆく。
『キッー!! 有難き幸せ』
上げていた右手を下してアームレットに触れると、黒いスーツの表面がゆらりとなみうち、全裸の風見舞が邪悪な笑みを浮かべ佇む。
その唇は妖艶な赤紫に染まり、目元も同じ色で染められ吊り上ってみえた。
『行け、風見舞。 シャドール帝国にその身を捧げよ。 ガードレンジャーを殲滅するのだ』
「ハッ! 必ずや、ワルサー様のご期待に沿う働きをご覧に入れます。  シャドール帝国に栄光あれッ!!」



鬼巫女



古より鬼を狩ることを生業とする一族がいた。
主家である守り人衆、八神家の若き当主となった八神神楽は分家の鬼斬衆、鬼薙衆と協力し、人間界に住み着いた鬼を狩り続けていたのだが…



鬼頭財閥ツインビルの最上階。
窓のない暗い部屋、その中央に神聖な巫女装束に身を包む鬼狩の当主、八神神楽が捕らえられていた。

「まさか分家の手駒を守る為に、当主自らが囮になるとはな。 その手駒たちは手当たり次第に鬼を狩り、お前の行方を捜しているようだが…」
「鬼を狩ることが斬、薙の務め。 斬、薙を守護することが当主である私の務め」
結界の中で目を瞑り正座したまま、神楽は静かに応えた。
「しかし、鬼狩の当主らしくない判断だったな」
黒いスーツを着こなし、高座の椅子で脚を組んで座っている鬼頭財閥総帥、鬼頭鬼丸が余裕の笑みを浮かべた。
「人のフリをしている鬼のほうが、らしくない と思いますが…」
「フフッ… 人の姿でいるほうが何かと都合いいからな。 お前たち鬼狩の目も欺ける。 いや、欺けた…だな」
「狡猾な鬼め…」


数時間前、神楽たち鬼狩衆は鬼に襲われている女性と遭遇した。
だがしかし、それは鬼の首領鬼丸が神楽たち鬼狩衆を葬るために仕掛けたワナだった。
鬼の気配を消して人に化けているが、それを見分けることはできた。
だが、帰宅途中のOLが鬼の餌食になる事件が連続して起きていたことが、神楽たちの心を逸らせ、鬼丸の仕掛けたワナにまんまとはまり、女性に化けていた鬼から鬼薙、鬼斬をかばおうとした神楽が囚われてしまった。



「ヒッヒ… あの神楽の名を継いでいるので、どれ程の者かと思うておりましたが…」
神楽の結界の周りをウロウロしていた老人が鬼丸を見やり、ニヤリと怪しい笑みを浮かべる。
「鬼狩の当主、八神神楽よ。 そろそろはじめるとしようか。 その結界を破り、楽にしてやる」
人の姿に化身している鬼丸の眼が紅く染まり金色の縦長の瞳が現われると、3本角の赤黒い鬼の姿に変容してゆく。
「なるほど… わざわざ私を生け捕りにしたのは、自らの手で葬り去りたかった…と言うことね。 くッ…」
本来の姿に戻った鬼丸から放たれる瘴気に圧された神楽が小さく声を漏らす。
「鬼狩の当主と言えども、我が瘴気に触れれば…  フッ…フフッ…」
途中で言葉を止め含みのある笑いを漏らす鬼丸。
その態度にあやしい胸騒ぎをおぼえた神楽の目がゆっくりと開かれる。
「鬼、一体何を企んでいるのです… うっ…」
「フフッ… それを知ったところでどうする。 フンッ!!」
鬼丸のドス黒い瘴気が増し、神楽の結界と干渉し白と黒の電撃が交差する。
「鬼が…  うぐっ…」
交差する電撃が激しくなり、神楽を護る結界が徐々に圧され小さく萎んでゆく。
「なんとたわいない ヒヒッ… もう限界のようですな」
「な…なにを…戯言を…  これしきの瘴気…」
「ヒッヒヒッ… ご当主殿の意識があるうちに、これから何がはじまるのかを、教えてやろうかのォ…」
そう言うと老人は、大事そうに持っていた鬼のしゃれこうべの口から、紫色の液体を床の上に垂らした。
「ヒッヒッ… 鬼狩の当主よ、御覧なされ」
床に垂らされた液体が妖しく輝きながら五芳星を描き、桃色の梵字が浮かび上がる。
「こ、これは… 禁呪!」
「ヒヒッ…いかにも。 これは人を鬼に化身する秘術、鬼人転生の禁呪」
「鬼人転生の禁呪?  どうして鬼が… 鬼ごときが呪術を… ン!? これは…鬼狩の梵… ちがう…逆梵字…    まさかこれで私を鬼に化身させると?  クスクス…何の冗談か知りませんが…」
「ヒッヒヒ… 鬼狩の当主は鬼巫女をご存知ではありませんかな」
「鬼巫女?」
「フッ… やはり知らぬようだな」
「ヒヒッ… 鬼狩にしてみれば身内の恥、でしょうからな」
「それはどう言う意味です。 その鬼巫女とやらと、われら鬼狩にどのような関係があると… くッ!」
床に描かれた五芳星が紐解かれるように一本の紫帯となり、結界を包み込み巻きつく。
そして結界の周囲にたちこめる鬼丸の瘴気も黒から紫の霧へと変化しはじめていた。
「ヒッヒッ… では、先代神楽のことは、ご存知でしょうな」
「鬼が何を…  神楽様は稀代の当主、私も神楽様にあやかりたいと… ぅッ…」
巻きついた紫帯が結界を締めつけ、その範囲をさらに小さくしてゆく。
「フフッ… 鬼巫女とは、その神楽と血を分けし妹」
「なッ! 神楽様にご姉妹? 誰がそのような戯言を」
「ヒヒッ… 姉への憧れが、いつしか強い嫉妬に変わり、鬼へと奔らせたのでしょうな」
「鬼となることを望んだ鬼巫女は、自らを鬼に変える転生の禁呪を生み出した。 だが…」
「黙りなさいッ!?  アッ!」
心の乱れに乗じて結界を破った紫帯が神楽の腕に絡みつく。
「ヒヒッ… この程度で心が揺れるとは… まだまだお若いですな 鬼狩の当主」
「くッ! こんなも…うっ… か…体が……」
巫女装束の上から神楽の腕に巻きついた紫帯が、結界の外にある紫の霧を吸収し、装束を禍々しい紫に染めていた。
「いかがですかな。 瘴霧に染められた装束の着心地は? ヒッヒッ… 瘴気と違って命を落とすことはありませんが、体の自由と思考を奪われ、何も考えられなく」
「バ…バカに…しないで…」
虚ろになりはじめた目を瞑り、小さく口を動かした神楽の額に破魔の輝きが集まる。
「ホホゥ…破魔の呪禁… まだそんな力を残して… ヒッ…ヒヒッヒヒィ…  がしかし」
その神々しい輝きは紫帯の梵字と同じ桃色に変えられると、染み込むように神楽の頭の中へと消えてしまった。
「な…なにが… どう…して…  うッ…  うぁぁ… あぁぁぁぁ…」
輝きが染み込んだ額にうすい桃色の模様が現れ、神楽の瞳が桃色に染まる。
「ヒッヒッ… 鬼丸様、鬼舟斎の勝ちですな」
「チッ まんまと老いぼれに誘導されよって…  極上の肝を喰いそびれたか」
「な…に…が…… おき…くぅあぁぁぁ…」
結界が消滅し、紫の霧と帯が神楽の体を包み込む。
「ヒヒッ… 鬼狩の当主よ、誤りましたな。 この程度の瘴霧ならば、解毒の術法でこと足りたはず。 しかし、施されている術が禁呪と知り、より強力な破魔の呪禁でなければ、と思われたのでしょう。   ヒッヒッ… がしかし、この転生の禁呪は破魔の呪禁があって成される禁呪。 当主ではない鬼巫女は呪禁が使えず、完全な鬼には生れなかったようですが…」
「…こ……こざか…しい……おに…め… うッくぅあぁぁぁぁ…」
神楽の額に円状に浮かび上がる模様の色が濃くなり、その中央が縦に裂けた。
「ヒッヒヒッ… その憎悪も転身の禁呪には不可欠。 オォォ… 当主の躰に鬼道が開きますぞ」
裂け目が口を開くように少しずつ広がり、女性の陰唇のような様に変化してゆく。
「あっ…  あぁ……  はあぁぁぁぁ…」
瞳の桃色が眼全体へと広がり紅に変わってゆくと、神楽は心地良い夢見心地の表情を浮かべたまま反応しなくなった。
「どうだ 鬼舟斎」
「恐らく問題ないかと。 あとは… ヒヒィヒヒッ…」
鬼舟斎が神楽の額に開いた穴を覗きながら、満足の笑みを浮かべる。
「フッ… そこに挿れてやればいいのか」
「さようです。 鬼道から鬼丸様の力を注ぎ、当主の心を導いて下されば…」
紫の霧に包まれて宙に浮いていた神楽の体が鬼丸の前に引き寄せられ、正座するように跪かされる。
「フフッ… 我らを狩る鬼狩の当主が我がシモベ、鬼巫女にか…」
両手で神楽の頭を押さえた鬼丸の口元が微かに緩み、額の穴にゆっくりと魔羅が捻じ込まれた。
「ホホォ…」
神楽の頭を貫いたであろう魔羅は不思議と貫通せず、彼女の頭の中に納まり、それを味わうかのように穴がヌチャヌチャと隠微な音をたてる。
「フッ…フフッ… 自ら求めるか」
深々と魔羅を押し込んだ鬼丸の顔に残忍な笑みが浮ぶ。
「ヒヒッ… お気に召して頂けましたかな?」
鬼舟斎の言葉に頷くと鬼丸はゆっくり抽送をはじめた。





意志のない紅い眼をした神楽が紫の霧に包まれて仰向けで宙に浮いている。
「ヒヒッ… そろそろですかな」
「フッ… ようやくか」
紫の巫女装束が風に靡くように揺れ、その様相が変化しはじめる。
襦袢(じゅばん)が妖艶に変化し、胸元と肩を露出する。
巻きついた紫帯がガーターベルトのように脚だけになった袴を吊るすと、血色をした大きな数珠が霧の中から現れ、露出した神楽の胸元を彩る。
巫女装束の変化が治まると神楽の体にも変化が現れる。
黒髪は青紫へと変色し、白い肌は日焼けしたような浅黒い肌へと変わる。
紫に染まった爪は鉤爪状に伸び、派手な化粧を施したような紫の模様が神楽の顔を彩ると、鬼丸の白濁で満たされた鬼道から白い棘が現れ、瞬く間に1本の強大な角へと成長した。
「ン…… ンン…」
すべての変化が治まった神楽が小さく身じろぎ瞬きすると、その眼は紅く、縦長の黒い瞳が開いていた。
「ンフゥ…… ここは…」
ゆっくりと上体を起こして床に脚を下ろした神楽が眼を細めて変わり果てた己の姿をみつめた。
「ンフ…  ウフフフ…」
「ヒヒッ… 気分は如何ですかな?」
「ウフフ… 鬼舟斎殿 悪い夢から覚めたような、とても清々しい気分… と申し上げたいところですが…」
「神楽、鬼巫女神楽よ」
「あぁ… 我があるじ…鬼丸様… ご無礼をお許し下さいませ…」
髪と衣をなびかせて振り返った神楽が恭しく跪き頭を下げる。
「鬼巫女殿、何かご不満がおありのようじゃが…」
顔を上げて眼だけを鬼舟斎に向けた神楽が、舌先で唇を舐めながら額に生えた角に両手を添える。
「いいえ、不満などございませんわ。 わたくしごときを鬼へと導いて下さったことに感謝しております。 ただ…」
鬼丸に一礼して立ち上がった神楽が変わり果てた装束の中に、唯一、そのまま残されている操を守る純白に指を滑らせた。
「わたくしの中に残されている この忌々しい鬼狩の力が… 残された人の部分が不快でなりません」
「ヒッヒッ… それはじゃな」
「鬼狩の力を似て、鬼狩を滅する。 わたくしがこれまで犯してきた罪を償う機会を与えて下さった」
「フフッ… なぜ鬼狩の力が残されているのか、理解しているようだな」
「ハイ いますぐ、この力で鬼狩のクズどもを…」
微笑んだ神楽の手の平に鬼狩守護の梵字が妖しく輝いていた。






「神…楽…さま…  どうして…」
神楽と交わした主従の契りが刻まれた腕を押さえながら鬼薙と鬼斬、ふたりの女手練が膝を落とす。
「これからは仲間…ではなく、手駒として働いてもらいますわ。 ウフフ…」
ふたりに向けてかざしている神楽の手の黒い邪悪な輝きが増すと、手練たちの腕がメリメリと隆起し、黒味を帯びた青と赤の鬼の腕へと変容してゆく。
「ヒッ… ヒィッ… お…おやめ…ください… 神楽… ギャヒィ…」
「お…お気を… お気を…確かに… ギヒッ…」
神楽を説得するふたりの口から不気味な声が発せられると腕に起きていた変化が全身へと拡がる。
「ウフフ… もうすぐ終わるわ」
「ッルル… カ…グ…ラ……サ…マ… ユ…ル…サナイ…」
「ウラ…ギリ…モノ…カグ…ラ… グルル…」
紅く染まった目で神楽を睨むふたりの額に黒い角が現れ、口元に鋭い犬歯が生えると。
「ウフフ… お前たちの獲物はわたくしじゃなくて人間… 鬼狩の一族よ」
「オニ…カ…リ… ニン…ゲン… ッルル…  ッルルル…コロス…」
「グルル…オニ…カリ…コロス… グルルル… ニンゲン…コロス…」
「ウフフ… お前たちは鬼、わたくしの可愛い手駒…」
ともに鬼を狩り続けてきた仲間が鬼へと変貌する姿を、神楽は冷たく微笑みみつめていた。



短い読み物



「ッ… いつまでも… わたしを利用できると… 思わないことね…」
白のライダースジャケットとミニスカート、膝下までのブーツを身に着けた女が苦渋の表情を浮かべる。
「まだそのようなへらず口を…  これで何度目だ、また自我を取り戻しているではないか。  もとより、敵であるこの女を部下にすることなど…」
「クックッ… ご心配には及びません。 サディースト殿下」
白衣のようなマントを纏う小柄な影が、まるで臣下の礼をとるかのように片膝をつき、漆黒の鎧を纏う騎士の足元に視線を落としている女の顎に指をかけ、羞恥と怒りがにじむ顔を覗き込んだ。
「なかなか意志の強い人間でしたが…  クゥックックッ… 殿下、いましばらくのご猶予を」
マゾーン帝国科学者ラテックは紅い眼を細めて不気味に笑うと、数人の部下に運ばせてきた装置に向かう。
「オイ! お前たち、サイバーブルーを装置に繋ぐのじゃ!」
『『ルゥッ!』』
全身がぬめぬめした黒い光沢を帯びているマゾーン帝国戦闘員スレイバーがラテックの命令に敬礼の姿勢で応えると、サディーストの前で跪いたまま動こうとしないサイバーブルー蒼野瑠海(あおのるみ)の腕を掴み、ラテックが調整している装置のところまで連れて行くと、彼女が身に着けている衣服を脱がせた。
「や、やめなさい…」
口だけで抵抗する瑠海の体はスレイバーたちと同じ黒の袖のないレオタードで覆われていた。
「クックッ… どれ、新しいスレイブスーツに着替えさせてやろうかの」
瑠海が装置の中央にある椅子に座らされるとレオタード部を覆い尽くすカバーが取り付けられ、そこに装置から伸びるチューブが繋がれる。
「何回繰り返してもムダよ、わたしはお前たちの…」
頭に黒いフルフェイスタイプのヘルメットを被された瑠海の言葉が遮られる。
「クゥックックッ… 今回は5マゾボンデージで調整じゃ」
ラテックが装置を調整しボタンを押すとゴキュゴキュと不気味な音が響き、装置と瑠海の体を繋いでいるチューブが小刻みに振動する。
そしてヘルメットの黒いバイザーにマゾーン帝国の紋様が明滅し、内部は黒いガスと怪しい音で満たされた。
「クゥックッ… スレイバーどものスーツの5倍のマゾボンデージじゃ。 洗脳レベルが格段に上がるじゃろう」
レオタードが取り除かれると黒い粘液が体を覆っているカバーに送り込まれ、瑠海の体に先ほどまでの物よりもピタリと密着する黒いレオタードが新たに形成された。
異臭を放つガスと音、そして体をきつく締めつける不快感と恐怖で瑠海の頭が左右に振れる。
「抵抗してもムダじゃわい。 すぐに植え付けた帝国への忠誠心が呼び覚まされる。 クックックッ…」
その言葉どおり瑠海の動きは次第に鈍くなり、力も抜けて装置に身をゆだねていた。
「クゥックックッ… サイバーブルー、ワシの声が聞こえるか」
ラテックの質問に応える瑠海の頭が小さく前後する。
その仕草に紅い目を細めたラテックも小さく頷き、装置の両脇に控えるスレイバーに瑠海に被せたヘルメットとカバーを取り除かせた。
「クゥックッ… サイバーブルー、お前はラバーラ陛下にすべてを捧げるマゾーンの兵、そうじゃな」
「…ルゥ…  私はラバーラ陛下に忠誠を誓う…マゾーン帝国の兵士です」
ラテックを見つめる眼差しは敵意のない尊敬する上役を見るものに変わっている。
瑠海の心と体に繰り返し刻まれた邪悪な意志が正義の心を抑え、マゾーン帝国の従順なスレイブへと変えていた。
「クゥックックッ… 何をしておる。 殿下への報告はどうした」
「ル、ルゥッ!」
ハッと驚いた表情を浮かべ玉座のサディーストを見やった瑠海は装置から立ち上がると敬礼の姿勢で応え、スレイバーたちが口を広げて持っているレオタードと同じ黒の腕と腿の中ほどまであるグローブとブーツを装着した。



「クゥックッ… 前回までと違い、今回は自我を取り戻した状態で課せられた任務を遂行しております」
瑠海から受け取ったデータチップを手にして話をするラテック。
その少し後ろで、瑠海は頭を下げて跪いていた。
「クックッ… この装置とスレイブスーツで調整してやれば、容易に再洗脳も完了致します。 これを繰り返すことで、サイバーブルーの洗脳はより完全なものとなり、揺るぎない忠誠心を持つ帝国の兵へと生まれ変わるのです。 恐らくそれも…」
「フフッ…よかろう、いましばらく時間をやろう。  スレイバーシャドー」
「ルゥッ!」
スレイバーシャドー。
サディーストにそう呼ばれた瑠海は指先まで綺麗に伸ばした右手を高々と掲げるマゾーン帝国の敬礼の姿勢で宣誓の奇声を発し、足早にサディーストの前に移動する。
「ルゥッ! マゾーン帝国に忠誠を」
「フッ… その証を見せろ。 スレイバーシャドー、サイバーナイツの施設を破壊して見せろ」
「ルゥッ! サディースト殿下の仰せのままに…」
自信と誇りに満ち溢れる瑠海の口元に邪悪な笑みが浮かんだ。


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