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コマンドール



『シャドール帝国の戦闘服を身に着けた気分はどうだ? ガードピンク、風見舞(かざみまい)』
「何のつもりか知らないけど、よりにもよってコマンドの戦闘服だなんて、最悪な気分よ」
『確かに、お前ほどの逸材にそのスーツを着せるのもどうかと思ったがね… ククク…』
シャドール帝国地球侵略軍司令官ワルサーが含みのある顔で笑った。
「どうせ何か処置を施して私を操るつもりなのでしょうけどムリよ。 諦めなさい」
『その前に自らの命を絶つ、と言うことだな。 ククク… それはそれで結構』
「………」
風見舞は怪訝な顔で目の前に仁王立ちしているワルサーの顔を見上げた。
「ワルサー、何を企んでいる」
『ククク… 推察のとおりだよ。 お前はシャドール帝国の一員となり、地球侵略の先兵となる。 いや、なったのだ』
「ッ! なったですって?」
ワルサーの言葉に舞は驚き、もう一度自身の体を見やる。
光沢のある黒いスーツが体にピタリとフィットして首から下をすべて覆い、不気味な生物を思わせる赤紫色のシャドール帝国の紋章が胸に大きく描かれている。
一見シャドール帝国の戦闘員コマンドに似ているが少し違った。
肘と膝から先がグローブとブーツを着けたように紋章と同じ赤紫色になっていることと、真っ黒な全頭マスクを着けていないことがコマンドとは違っている。
「コマンドみたいな姿にされているけど、でもそれは外見だけで」
『さて、それはどうかな? ククク…』
「な、何が言いたいのッ!」
不敵な笑みを浮かべるワルサーの手が小さく合図を送ると、舞の傍らに立っているコマンドが目の部分が蝙蝠の羽のように赤紫色に彩られた全頭マスクを舞に見せる。
「これを被せてコマンドに仕上げるわけね。 でもそれだけで、私を操れると思って?」
『ククク… マスクを着ければ、植え付けた新しい意志と記憶が目覚める。  お前はシャドール帝国のコマンドールに覚醒するのだよ』
「コマンドール?  植え付けた新しい意志、記憶ってどういうことなの!!」
『ククク… お前が眠り続けていた5日間で、帝国の超高度催眠洗脳処置を施した。  風見舞、すでにお前はシャドール帝国の兵士に生まれ変わっているのだよ』
「催眠…洗脳…」
『そうだ。 お前を次元獣に改造してレンジャー共と戦わせるよりも、洗脳して帝国に従わせた方が、ガードレンジャーを確実に葬れる』
「私がお前たちの言いなりになることは絶対にない!! それに5日も連絡がつかない私を、仲間が疑わないはずが」
『ほんの5分程度のことだ』
「!? 5分? それはどう言うこと」
『ククク… この次元要塞がある次元層の1日は地球では1分程度。 レンジャー共はお前が捕らえられていることにも気づいてないだろう』
「そんな話、信じるとでも思ってるの?  私はガードピンクよ、操られて仲間を危険に陥れる前に」
『命を絶つか? ムダだ。 お前が自爆できるのは敵であるガードレンジャーに敗北するか、俺の命令があったときだけ。 すでにお前は帝国の支配下にあるからな』
舞の手足を拘束している金属の枷が鈍い音とともに外された。
『ククク… 試してみるがいい』
「なんのつもりか知らないけど、後悔しても…!?    な…なぜ……体が…動かない…」
拘束を解かれた舞は玉砕覚悟の攻撃を仕掛けようとしたが、椅子から立ち上がるどころか、指一本動かすことが出来なかった。
『俺の許可があるまで動くなと命令してある。  ククク… 自分がシャドール帝国の兵士になっていることを理解したか?』
「くっ…   私はガードレンジャー、ガードピンクよ!  最後まで諦めないわッ!!」
『ククク… 自らを奮い立たせてもムダなこと。 そのマスクを着ければ全てが終わる。  いや、はじまるのだ。 風見舞の記憶と意思は、任務遂行に必要な情報と認識し、刷り込んだ記憶と意志に従い行動するようになる』
「絶対にならない!! 絶対にお前の思い通りにならないッ!!」
『クク… もういいだろう。  風見舞、そのマスクを着けるのだ。  そしてシャドール帝国に忠誠を誓え』
「だ、だれがこんなモノ…  ぐっ…  うぐっ…  か…体が… 手が…勝手に…」
舞の手はコマンドが持っている艶のある黒と赤紫のマスクを受け取っていた。
「体を操られても… 心は… 心は操られたりしない…」
自分の意思に反して動く体に、さすがの舞も恐怖に駆られた。
「ムダよ…  私は… 絶対に……   い…いや…… やめなさい…」
マスクの首の部分を大きく広げて頭を中に入れると、舞の手は迷うことなくマスクから離れる。
『ンンッ!! ンンッ… ンンンッ!!』
舞の顔にピタリと張り付いたマスクは目の部分にある赤紫の模様が妖しく輝き、スーツとマスクの重なった首の部分が綺麗に同化する。
『ンンンッッッッッッ!!   ンッ!!  ンッ  ンンッ… ンッ… ン………』
全身が痙攣し、マスクで口を塞がれて声にならない唸り声をあげる舞が次第に大人しくなり、マスクの口元が微かに膨らみ赤紫色の唇模様が浮かび上がった。
『ンフゥ… フゥ… フゥ…  フゥ………』
シャドール帝国の戦闘員コマンドのようになった舞が呼吸を整えながらワルサーを見上げると、ゆっくりと立ち上がる。
『キッー!! シャドール帝国に忠誠を誓います』
指先まで綺麗に伸ばした右手を胸の前に水平にかざしたあと、高々と掲げるシャドール帝国の敬礼の姿勢と奇声を発して忠誠を誓う舞。
『ククク… 自分が何者か理解しているな』
『キッー!! 私はシャドール帝国地球侵略軍 特別攻撃兵コマンドールHB01です』
『お前の任務は』
『キッー!! シャドール帝国の敵、障害となる地球防衛機構ガードレンジャーの排除。 ガードレンジャーピンク風見舞として潜入し、ガードレンジャーを道連れに自爆することです』
敬礼の姿勢で刷り込んだ使命を返答する舞に満足の笑みを浮かべるワルサー。
『そうだ。 お前はこの次元破壊爆弾でガードレンジャーを殲滅し、帝国の礎となるのだ』
帝国の紋章が刻まれた黒銀のアームレットを舞の左腕に嵌めと、それはスーツに同化して体の一部と化してゆく。
『キッー!! 有難き幸せ』
上げていた右手を下してアームレットに触れると、黒いスーツの表面がゆらりとなみうち、全裸の風見舞が邪悪な笑みを浮かべ佇む。
その唇は妖艶な赤紫に染まり、目元も同じ色で染められ吊り上ってみえた。
『行け、風見舞。 シャドール帝国にその身を捧げよ。 ガードレンジャーを殲滅するのだ』
「ハッ! 必ずや、ワルサー様のご期待に沿う働きをご覧に入れます。  シャドール帝国に栄光あれッ!!」



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まとめ【コマンドール】

『シャドール帝国の戦闘服を身に着けた気分はどうだ? ガードピンク、風見舞(かざみまい)』「何のつもり

コメントの投稿

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No title

久しぶりですね。SSお疲れ様です。
じわじわ堕とされるピンクがいい味だしてますね。
続きとか連鎖落ちとか見て見たいものですが、
短編タグに入ってるのが残念です。

No title

お久しぶりです。
やはりこういう作品はいいですねぇ。
楽しませていただきました。
ピタスーツ最高です。

No title

お疲れ様です。
記憶書き換えはいいですね。
それにしても、自爆させるとはもったいない。

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No title

コメントありがとうございます。
駄作短編ばかりですスミマセン><
せっかく手に入れた手駒を使い捨てにする敵もいるよね?
っと思い、今回は敵組織壊滅を狙った自爆を選択しました。

のんびりナメクジさん以下のスピードで
できるだけ妄想しますのでこれからもよろしくお願い致します。
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